20:名無しNIPPER[saga]
2017/05/31(水) 18:05:19.19 ID:3uv3ojMy0
桐生が家来達と木村屋から出ると、
長髪の女が外に立っていた。
その女も家来のような人間達を連れていた。
「どうも、ご機嫌いかがかしら?
桐生“殿”」
財前時子。財前屋の家長で、
嗜虐心の強い激情家として有名である。
その彼女が、既に爆発寸前という表情を浮かべていた。
「どーも、財前屋さん。
商売の方はうまく行ってる?」
「はっ、わざとらしい笑顔ね。
財前屋の杉を奪っておいて!!」
財前は激昂した。しかし、桐生達の方にはわけがわからない。
「そちらが桐生の船を沈めたのではないか!」
桐生の家来が言い返した。
「お前達が先に仕掛けたのではないか!」
財前の家来がまた言い返す。
こうなると収拾がつかず、桐生屋と財前屋の両者は
木村屋の前で大騒ぎになった。
それがようやく収まった頃には、桐生と財前含め全員が、
生傷だらけになっていた。
大暴れしたことで少し血が抜けたのか、
財前は落ち着いた顔で、桐生に別れを告げた。
「それじゃあまた…ご機嫌よう」
声には、抑えがたい敵意が込もっていた。
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