菊地真「少しの勇気を想いに込めて」
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15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/30(火) 04:24:06.83 ID:0pd4b6qCo




プロデューサーに連れられた場所は小さな公園だった。

都会だというのに驚くくらい静かでゆっくりと星を眺めるには絶好の場所だと思う。

「それにしても、よくこんな場所を知ってましたね」

「あぁ、貴音に教えてもらったんだよ。なんかやたら嬉しそうにしてたなぁ」

「へえ、貴音に感謝しないとですね」

「そうだな、明日お礼言っておかないとな」

「えぇ……」



暫く二人で空を眺めていると、キラリと夜空に一筋の光が奔る。

するとそれに釣られるかのようにいくつもの光が雨のように降り注ぐ。

「綺麗ですね……」

「あぁ、綺麗だ」

流れ星に願い事を三回唱えるとそれが叶う、なんて言われてたな、なんて思い出す。今お願い事をしたら叶うだろうかと、プロデューサーの横顔を盗み見る。

すると、ふっと小鳥さんの言葉が聞こえてきた、ような気がした。

『言葉にするのは勇気がいるけれど、自分の想いを真ちゃんが信じてあげればきっとその想いはつながるから』

行動するなら、今だ。プロデューサーにこの想いを伝えるなら、今しかない。
カチューシャをそっと握り、深く、深く呼吸する。

夜空を見上げるとまだまだ星は流れている。
小鳥さんに背中を押されたように、ボクは口を開く。

「プロデューサー」

「……どうした、真」

「……好き、です。貴方のことが大好きです。ずっと、ずっと好きでした」

「……」

プロデューサーの顔を見つめる。困ったような、泣きそうな、よく分からない顔をしていた。

ああ……駄目だったのかな。仕方がない、かな。仕方ない……そう思っているのに視界が滲む。

「……ふぅ、先に言われるとはな」

「え……」

「真、俺もだ。俺も、真のことが好きだ」

「プロデューサー……も……?」

「ああ、本当は俺から言おうと思ったんだけどな。真に先に言われちゃったよ」

「あは、あは…ははは……」

涙がぽろぽろと零れる。嬉しいのに、悲しくなんかないのに涙が止まらない。

「真……」

プロデューサーの顔が近付いてくる。そっと抱きつき、目を閉じる。
唇に柔らかくも温かい感触。頬を伝う冷たさと唇の温かさがはっきりと分かる。心地よいその感覚を味わいながら、ボクたちはそのまま抱き合っていた。



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