伊吹翼「太陽の彼女」-SS速報VIP

伊吹翼「太陽の彼女」

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50:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:26:33.19 ID:CTHKjdCD0
…………言うべきことは全て言った。
いや、冷静になって私は何を言っているんだろうか。
口を開けば、未来、未来、未来とそれしか言っていなかった気がする。……でも、仕方ないよね。

以下略 AAS

51:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:27:20.57 ID:CTHKjdCD0
「翼！」

駆け寄ってくる未来。あたかもライブが終わったかのように安堵しているように見えた。だけど、まだまだこれからなのだ。
ライブは続く。
私たちも続く。

以下略 AAS

52:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:28:04.89 ID:CTHKjdCD0
「やっと終わったー」

事務所のソファに二人して腰をかける。目的があると言うより、とにかく疲れていた。
未来が凝り固まった体を伸ばしながらそんなことを言う。ふと、窓ガラス越しに空を眺めると夕陽が差し込んでいた。
ここに呼び出された時はまだ空は青かった。だから、随分拘束されていたことになる。

以下略 AAS

53:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:29:02.88 ID:CTHKjdCD0
ライブから数日。
色々な意味で大変だったあの熱狂の日の後始末が、私たちの知らないところで終わったらしい、そんな日に私たち――私と未来は事務所に呼び出された。
クビを覚悟していたけど、それを言われることはなく――しかし長く長い説教を二人で受けて、その後私だけ律子さんに居残りをさせられたのだった。

以下略 AAS

54:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:29:34.33 ID:CTHKjdCD0
『本当にあなたは……。確かに最近、未来と上手くいってないとは聞いていたけど、まさかステージのど真ん中で爆発するなんて』
『……はは』

未来と上手くいってない、そんな状態があったことすらもう遠い昔のことに感じられて、ひょっとして夢だったのではないかとすら思う。
でも、きっと私に必要なことだったんだろう。

以下略 AAS

55:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:30:28.73 ID:CTHKjdCD0
『さっきも言ったけど、ライブはファンのためにあるの！だから私物化は厳禁！』
『はい！』
『だけどね』

一呼吸挟んで、

以下略 AAS

56:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:31:14.91 ID:CTHKjdCD0
泣き止んで、落ち着くまで律子さんに宥めてもらって、未来に合流したのだった。
泣き跡が残ってることを心配されたりしたことだけが失敗かな。
それにしても、

「最近、恥ずかしいことばかり言ってる気がする」

以下略 AAS

57:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:31:51.03 ID:CTHKjdCD0
少し戸惑っているような、そんな未来に私は問いかける。

「未来ってさ、私をどう思ってる？」
「どうって……」

以下略 AAS

58:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:32:35.19 ID:CTHKjdCD0
「私はね、未来のことを」
「うんうん！」

未来は無邪気な、期待をしたような顔をして私の答えを待つ。雛を育てる親鳥もこんな気分なのかな。
いや、違うよね。

以下略 AAS

59:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:33:22.47 ID:CTHKjdCD0
ふと、思う。
恋とは何だろうか。
杏奈と瑞希ちゃんに聞いて、そのせいでいろいろ悩んでしまって、結果として大事になってしまったけど答はまだない。
杏奈は無自覚だった。あるいは自然体で百合子ちゃんと触れ合っていた。
瑞希ちゃんも似たようなものだ。その人の前にいれば、考える必要はないらしい。

以下略 AAS

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