伊吹翼「太陽の彼女」-SS速報VIP

伊吹翼「太陽の彼女」

↓ 1- 覧 板 20

43:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:19:42.18 ID:CTHKjdCD0

「…………あはは」

マイクに反応しないようにして、私は笑った。未来の笑顔とは全く別種の、そして比べ物にならないほど陳腐なものを。
これがツケなのだと、そう思った。

以下略 AAS

44:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:20:22.99 ID:CTHKjdCD0
私には未来が何故私の方へ向かって来るのかわからなかった。
ただ、私はそんな彼女が私のマイクを奪ってくれないか、と思ってしまった。これ以上私がステージにいても歌うことすら出来なさそうだから。
そう思って、私はマイクを未来に差し出す。
最後の一撃を、未来にしてもらえるならこれ以上はない。

以下略 AAS

45:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:21:01.34 ID:CTHKjdCD0
最悪だ。
もっと早く気づいていれば、このステージはきっと未来や他の娘達で輝いていたはずなのに。
私が、もっと早く――、

「嫌だ」

以下略 AAS

46:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:21:52.64 ID:CTHKjdCD0

「それに……」

未来は続ける。

以下略 AAS

47:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:22:25.38 ID:CTHKjdCD0
「み、未来…………えっとね」

胸中とは裏腹に、私の口はよく回った。だけど、それが明らかに照れ隠しであることは言うまでもなかった。
とりあえず、口を開く。気をそらして、この熱を少しでも冷ますために。

以下略 AAS

48:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:23:04.99 ID:CTHKjdCD0
未来は要領を得ない風な返事をしたけど、私にはそれで十分だった。
私一人じゃ……いや、他のアイドルの娘と二人だったとしてもこの場をどうにかすることなんて出来る気がしない。
だけど、未来となら。
未来が私に力を貸してくれるなら、どこまでも行ける気がするんだ。
マイクを強く握る。誰にも渡してなるものか、未来にだって、譲ってあげない。私の「可愛さ」を知らしめるために、これは必要なんだ。

以下略 AAS

49:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:25:57.08 ID:CTHKjdCD0
「未来って、馬鹿だよね」

んなっ、と後ろから声がする。まあまあ、と心の中だけで宥めておく。

「大事なライブで、こんなことしちゃってさ」

以下略 AAS

50:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:26:33.19 ID:CTHKjdCD0
…………言うべきことは全て言った。
いや、冷静になって私は何を言っているんだろうか。
口を開けば、未来、未来、未来とそれしか言っていなかった気がする。……でも、仕方ないよね。

以下略 AAS

51:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:27:20.57 ID:CTHKjdCD0
「翼！」

駆け寄ってくる未来。あたかもライブが終わったかのように安堵しているように見えた。だけど、まだまだこれからなのだ。
ライブは続く。
私たちも続く。

以下略 AAS

52:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 01:28:04.89 ID:CTHKjdCD0
「やっと終わったー」

事務所のソファに二人して腰をかける。目的があると言うより、とにかく疲れていた。
未来が凝り固まった体を伸ばしながらそんなことを言う。ふと、窓ガラス越しに空を眺めると夕陽が差し込んでいた。
ここに呼び出された時はまだ空は青かった。だから、随分拘束されていたことになる。

以下略 AAS

66Res/62.40 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ