森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
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58: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:15:26.01 ID:IavW4Xih0

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「うぅー…!」

 今日は、プロデューサーさんが戻ってくる日。いつもよりも早く事務所に来た私は、筆の進むままに13冊目の絵本ノートに下書きを描きました。

 描きましたが…。

「い、勢いで書いたら…なんだかとってもなものが出来上がったきがするんですけど…!」

 自分の事を主役にして物語を書くなんて、しかもこの『たびびと』って…!願望だらけで痛い気がします。ダメな気がします。

「隠さないと…!」

 これだけは、プロデューサーさんに見せるわけにはいけません。私は机の下から這い出て、ロッカーを目指すことにしました。とりあえず、更衣室のロッカーに隠したら、プロデューサーさんは決して見つけられないでしょう。

「おはよう!」

「ひゃぐ!」

 プロデューサーさんは、そんな私をあざ笑うかのようなタイミングでやってきました。偶然でしょうけど、最悪のタイミングです。

「…あ、それこの前のやつ?見返したいし、よかったら見せてもらってもいいかな?」

「こ、これだけは…。」

「ん?」

「これだけは無理なんですけどぉ!」

 こんな事も、いつか思い出になるのでしょうか?

 …確かめるのは、私とプロデューサーさんですよね。




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