森久保乃々「ええっ。もりくぼ以外、もりくぼじゃないんですけど」
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:41:16.03 ID:XLADNSTB0
ふと時間が気になりました。そうするともりくぼの森は敏感にそれを感じ取って、景色は一点に集約されてしまいます。
あぁ、今日は短かったなぁ。そう思いながら、白と黒の扉の前にもりくぼは立っていました。
白の扉をくぐるともりくぼの森から抜けて、真っ白の世界にとどまって、銀色の痛い光が黒く世界を塗りつぶして、現実に戻って来ます。
以下略
AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:41:44.05 ID:XLADNSTB0
扉をくぐる前に、こうやって、事務所の好きな人に会うという儀式があります。
この凛さんは森の凛さんだから、本物の凛さんではないけれど……
凛「おいで、乃々」
以下略
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:42:14.69 ID:XLADNSTB0
凛さんが離れて行った後、もりくぼは次に輝子さん、美玲さん、まゆさん、幸子ちゃん、小梅ちゃんに、同じことをしてもらいます。
全てが終わると、みんなは木の葉のかけらになって白い扉の周りに薄く積もります。
白い扉に手をかけました。そのままノブを回して押すと、完全な白が目の前にありました。
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:42:43.45 ID:XLADNSTB0
〜〜〜〜〜〜
一瞬の意識の飛びの後、森久保は頭痛とともに目を覚ましました。頭を起こそうとして机に頭をぶつけました。
手足がじりじりと痺れます。きっと同じ姿勢を保持していたからだと思います。
誰もいないことを祈りながら、もりくぼは机から顔を出しました。
以下略
AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:43:17.07 ID:XLADNSTB0
帰り道、もりくぼは事務所で言われたことを反芻していました。
『そろそろ、本当に人と目を合わせられるようにならないとダメだぞ』
『インディヴィジュアルでテレビの撮影が入ったんだ』
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AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:43:43.21 ID:XLADNSTB0
本当に、本当に逃げ出したくなりました。
打ち合わせの時も気が気でなかったし、撮影スタッフさんとの挨拶も全くうまくできませんでした。
それを見かねたプロデューサーさんが、さっきのようなことを言ったのです。
以下略
AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:44:27.94 ID:XLADNSTB0
森久保は帰宅するまでずっとうつむきがちに歩いていました。
帽子を目深に被って、誰にも気取られないようにしながらも、頭の中はずっと『人と目を合わせること』ばかりを考えては、
無理だ無理だとかぶりを振り、逃れられない焦燥感とどうしようもなさに戸惑っていました。
当然帰宅してからもそのイヤな感じは消えないでいました。
以下略
AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:45:05.99 ID:XLADNSTB0
でも、打ち合わせもやってしまった以上、逃げることは許されませんでした。
もう、もりくぼは企画に向かってやるしかないのです。
その段階でまず最初に障壁になるのは
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AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:47:24.87 ID:XLADNSTB0
〜〜〜〜〜
人と目を合わせる練習は最初は自分と目を合わせることから始めようとしました。
今私は自宅の鏡の前で立っています。目の前には鏡。と、それに映るもりくぼ自身の姿。
改めて鏡を見ると、もりくぼが鏡に映ってるのが見えます。そりゃそうです、鏡ですから。
以下略
AAS
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:47:52.88 ID:XLADNSTB0
私、ここまで誰かを目を合わせるのが苦手だったんですね。
どんどん視野が下を向いていきます。私の歯ブラシが目に留まりました。
ピンク色で、おろしたてだから毛先が開いていない新品の歯ブラシです。
歯ブラシさんはいいなぁ……口の中に入れられちゃうから、人と目を合わせなくて済むんですから。
以下略
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◆t6XRmXGL7/QM
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2017/05/20(土) 01:48:31.19 ID:XLADNSTB0
右手を左手でつかんで、ぎゅっと力が入ります。見ている、見られてる、見られてる。
あっ、怖い……やっぱむぅーりぃー…………
手を見ているだけなのにどうしても緊張してしまって、力を込めた手のひらにはぶわーっと手汗が走ります。
「はぁっ!はぁ、はぁ……」
以下略
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