283: ◆PChhdNeYjM[saga]
2017/06/15(木) 23:07:57.99 ID:r9yqUWKuO
手術から、1週間が過ぎた。
あれから俺は、毎日この病室を訪れている。
出禁の件は、うやむやになってしまった。
ありがたいことだ。
そのおかげで、今も俺は……こうして彼女に会うことができているのだから。
「俺ね、思うんだ」
「君の命が助かっただけでも、十分だって」
返事は、帰ってこない。
「だって、本当は助からなかったかもしれないじゃないか」
「どれだけ待ったって、ドナーが見つからなかった可能性だってあり得たんだ」
「それなら、早い段階で手術した方が、よっぽど良かったんじゃないかってさ」
「……なんてね。終わってからこんなこと言ったって、仕方ないよね」
「君ならきっと、もっと楽しいことを話そうって、笑うんだろうなあ」
「ひょっとしたら、この声が実は君に聞こえてて、今にも笑いたくて仕方がない……なんてこともあるのかな」
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