9:踏切交差点 ◆uw4OnhNu4k[saga]
2017/05/28(日) 15:28:16.68 ID:5eIwWQUS0
「ゴミ箱の中に入ってるガムを食べさせられる。教科書を田んぼ横の用水路の中に捨てられる。授業中に後ろから髪の毛をハサミで切られる。C地区の小学校で実際にあった話だよ」
C地区出身の生徒がどこか自慢げに話した。
「A地区出身もB地区出身もいいやつばっかでびっくりしたよ。先生の言うことも真面目に聞いて、自習の時間に黙って自習していた時は頭おかしいんじゃないかって思ったな」
「Cだって全員が不良なわけじゃないだろ?」
「そりゃそうだ。C地区の荒れた空気が元々嫌いだった奴もいる。だから中学に入って、AやBの出身者と仲良くつるみ始めるようになる。クラスの数も多いから、小学生時代の同級生ともばらばらになっちまうしな。品の良い奴らと出会って、ほっとしたやつも多いだろうよ」
実は俺もそのうちの一人なんだ、と、細眉のクラスメートは笑った。
「それでも悪い奴らは悪いままだ。7クラスあって、最低一人は不登校になってるんだぜ?多いクラスだと3人だと」
「そうらしいね」
「それでも俺らは1年生の時はうまくやっていたと思わないか?あの事件からだよ、クラスが荒れ始めたのは。あの、神隠しの……」
その時先生が教室に入ってきて、クラスメートは話を中断した。
「席に戻るわ。授業が始まっちまうからな。真面目に聞かないと」
いかにも嘘っぽい言葉を吐いて、席に戻っていった。授業中に彼を見てみたが、机に伏せて寝ていた。
7組は平和だ。
女子の間にわだかまりはあるし、不登校の女子生徒も一人いるが、激しいいじめや学級崩壊とは無縁だ。
ありふれた普通のクラスだった。
呪われた、4組と違って。
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