5:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 10:53:36.36 ID:S7gli32O0
「ねえ、お母さん。俺向いてる仕事何かなぁ」
「飲食店は上手くいくでしょうね。お皿に盛るグラム数が決まってるらしいわよ。マニュアル通りにいつも同じ量乗せられたらすぐにバイトリーダーになれるわよ。ああ、でもあんた手順覚えるの向いてないわねぇ」
萎えるようなことを母が言ってきたのを無視して返答する。
「大金を稼げるようなのはないの。ほら、完全記憶能力のある人がポーカーで大儲けしたっていう映画あったじゃん。俺もこの能力使って派手なことできないかな」
「変なことに使うんじゃないわよ」
母親はたしなめた。
「能力っていうのは人に役立て信頼されるために使うものなの。インチキで自分だけ得をしてたら、人の信頼を失ってしまうわよ」
「インチキじゃないよ。絶対音感を持ってる人が音楽家を目指すのと方向性は同じだって」
「ならいいけど。あんたが学校に通ってるのは、その才能を磨く方法を考えるのと、誰のために使うか使い道を学ぶためであることを忘れちゃだめよ」
「うるさいなぁ。RPGの長老かよ」
「ふふっ、なによそれ」
母親は小銭を数えながら笑った。
1円玉を10枚ずつ重ねて並べていた。
まだ時間がかかるだろうなと思った。
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