6: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/08(月) 12:20:08.30 ID:N84Ou5maO
「ベルリンの見所、でございますか」
('A`)「あぁ。多忙なところ申し訳ないんだが、頼む」
いちいち調べるのも億劫なので、年配のウェイターを一人呼び止めて尋ねることにする。相場より少し多めのチップを盆に置くと、目尻の皺をだらしなく緩めながら饒舌に答えてくれた。
「いつもならヨーロッパ・パークがやはり一番手に上がるのですが……ここ数日はあいにくの天気ですからな」
そう言ってテラスの外にちらりと視線をやる。今日も厚い雲が空を覆い、朝から盛んに雨水をアスファルトに叩きつけている。
「ブランデンブルク門など如何でしょう。今年で建設から326年になる歴史ある門ですが、雨の中のたたずまいもまた格別な趣がございます。
距離的にもここからそう遠くありません。タクシーなら2〜3分、徒歩でも15分といったところですな」
('A`)「……なるほど、ね」
グランドスクールの頃に歴史学で最悪な成績を叩き出し続けていた俺にとって、そのブランデンブルク門とやらが積み重ねた326年の月日は“この天気に近づいたらさぞ土臭いだろうな”という感想を抱かせるだけだ。
此方の心情が伝わったらしく、ウェイターは「お気に召さないようですな」と言って苦笑いを浮かべた。
「確かに、今の若い人たちにはあまり愉快な場所とは言えないでしょうな。
しかし、同じドイツ人に紹介できるようなベルリンの見所というとなかなか思いつきませんなぁ」
('A`)「いや、そこは気にしないでくれ。元は田舎の出身だし、アビトゥーア(ドイツにおける高等教育受講の権利)を取得できず学園艦への乗船ができなかった落ちこぼれだ。
俺にとってはベルリンもニューヨークも変わらないよ、脳みそがラードでコテコテのアメリカ人に紹介する感じで大丈夫だ」
「なるほど。ではケンタッキーフライドチキンかステーキハウスが付近にあることは必須条件ですな。
……とまぁ冗談はさておきまして、今ならばパリ広場に行かれては?」
('A`)「パリ広場?」
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