402: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/24(土) 02:10:08.70 ID:W1r6lzRK0
「…………この!!」
なおもお姉様に肉薄しようとした“影”に向かって、膝立ちの状態から20.3cm連装砲を連射。迫る四発の砲弾を、“影”はバレリーナみたいに軽やかな動きで後ろに飛んで回避する。
そして、元々そうするつもりだったような迷いのない動きで今度は私に向かって突進してきた。
「なっ────きゃあっ!?」
慌てて機銃と副砲を放ち動きを止めようとしたけれど、驚くほど低い姿勢から弾丸のように飛び込んでくる動きに対応できない。“影”ほんの数歩で私との距離を零にして、そのまま大きな動作で尻尾を振りかぶる。
「うぁっ………!?」
顔スレスレを薙いだ尻尾の一撃を避けて崩れた体勢。予想だにしなかった白兵戦に混乱する頭はめまぐるしい動作に追いつけず、続けて放たれた回し蹴りが私の胸板を殴打した。
「けほっ────がっ、ゴホッ!?」
激痛と圧迫感に口から息が漏れる。後ろに流れた身体に、今度は背中から尻尾の一撃。無理やり引き起こされたところで、肘打ちが顔に、更に尾の追撃が脇腹に突き刺さる。
「………ブフッ」
口の中に広がる鉄の味と、生ぬるい液体の感触。こみ上げてくる吐き気と激痛が合わさって視界が激しく揺らぎ、脳が揺すられて立っていられない。
(何……なの……この、戦い方………)
ぐらりと前のめりに倒れかけながら、ぐちゃぐゃになった思考が脳内でぐるぐると回る。
陸であれ海であれ、砲雷撃戦で深海棲艦と戦うための教育と訓練を受けてきた私達。反艦娘団体の暴動に備えた対人戦の手ほどきも多少は受けているが、“同等の戦闘能力を持つ相手”との格闘戦など想定していない。
予想が全くつかない動きの数々に、対応がまるでできない。一方的に、嬲られる。
「痛っ…………」
膝を突いた私の頬に、拳がめり込む。血の味が更に濃くなるのを感じて、私の身体は裏拳によって地面に横倒しにされた。
『…………wwww』
降りしきる雨の中で、敵の尻尾がなんとも禍々しいシルエットを浮かび上がらせながら振り上げられるのが眼に映った。
動けない私の頭を噛み砕こうと、大口を開けた牙だらけの顎が迫ってくる。
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