302: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/05(月) 22:30:29.51 ID:MGWwwK4M0
《えっ、ちょっと待ちなさいよ。釣り出しってどういう意味───きゃあっ!?》
無線越しに砲弾がアスファルトを砕く音と、とてもドイツ海軍最強の艦娘が上げたとは思えない高い悲鳴が耳に飛び込んできた。次いで、高層観測班から敵砲火がビスマルクの待機地点に集中している旨が焦燥剥き出しの声で知らされる。
戦艦の居場所を晒したのだから、優先して潰そうと思うのは当然か。ともあれ、わざわざ追加の「裏付け」までくれるとは親切な話だ。
('A`)「ビスマルク、損害状況知らせ!」
《数え切れないほどの至近弾に、駆逐艦のものと思われる砲弾が一発直撃!
とはいえ小破にすら至ってないわ、艤装運用に問題なし!》
('A`)「解った、はっきりした損傷を受ける前に一度後退しろ!!」
《Jawohl!!》
深海棲艦は陸上における進行速度は俺達と大きく変わらないが、非ヒト型はその巨体と馬力を活かして建物を崩しながら市街地を“直進”する。狙い通りのこととはいえ、前段艦隊の到着まで時間は潤沢とは言い難い。
打てる手は、同時進行で打つ。
(#'A`)「ティーマス!」
( <●><●>)「Ich verstehe.
前衛部隊各位、路上に再びC-4の設置を急いで下さい。……それと、街路両脇で3階建て以上の建物があればその最上階壁にも取り付けるように。アサルトライフル並びに携行砲のメンテナンスも───」
目配せしただけで飛ばされる的確な指示。しかもこちらが出す予定だった内容とほぼ変わらないときた。
階級譲渡が無理なら佐官への特進を進言しようかと半ば本気で検討しつつ、手元の無線をツンの下に繋げる。
('A`)「ツン、ポーランド軍機甲部隊との合流は!?」
ξ;゚听)ξ《第一波との合流は完了、割り振りも無線合わせも済んでるけど……貴方いったい何したの!?どうして深海棲艦が突然前進なんか───》
('A`)「解説は後だ!レオパルト1とプーマを一両ずつ指揮所の防衛に残して、自走砲以外の全装甲戦力を渡河させろ!」
ξ゚听)ξ《───了解!!》
('A`)「総員に伝達!!間もなく再編された主力機甲部隊が前線に到着する、各部隊は現戦線を固守し主力到着まで耐え抜け!!」
ここで一瞬、サイ大尉やミルナ中尉のように洒落た演説の一つでも飛ばせないかと言葉が途切れた。
まぁ、学がない上コールガールすら口説いた事が無い俺に、あんな演説が思いつくはずもない。
ついでに言えば時間も無かったので、俺はドイツ人のステレオタイプらしく「仕事」の内容だけを伝えることにした。
(#'A`)「これより、深海棲艦の前段艦隊との決戦に移る!!ベルリン奪回への分水嶺だ、全火力を動員して迅速に殲滅しろ!!
化け物共に、艦娘以外にも敵がいると言うことを……」
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