61: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 00:44:39.32 ID:6an8YmUi0
「文明」の字が示す通り、人類の進歩に言葉と照明の歴史は欠かせない。
本の燃える様が他の物が燃えるよりもおぞましく感じるのは、それがまるで自らの右手を食いちぎるような、
あるいはこめかみに銃口を押し付けて引き金を引くような、自滅の虚しさを感じるからだろう。
原始、人間は落雷によって生じた火を絶やさないように守り、道具として使い始めたという。
中でも狼煙の発見は狩りを容易にし、また、人間同士の戦でも永く使われた。
狼煙は天候に左右され、単純な信号しか送れないものの、その伝達距離は百キロにも及ぶ。
やがて望遠鏡の発達により手旗信号やモールス信号が開発され、さらには無線電信が普及。
今や一人に一台、携帯電話が割り当てられている。
いまどき、狼煙なんて上げるのは文章の中くらいだが、煙の伝達手段としての利用はそれなりに残されている。
街に黒煙が上がれば携帯電話を構えた人々が群がり、
淹れたコーヒーから湯気が消えれば、それは自身の余裕が失われている証拠である。
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