23: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 00:24:01.75 ID:6an8YmUi0
「ありがとうね、サターニャ。私、がんばってみる」
ヴィネットはそう言って、ふぅと白い息を吐き出した。
その様子に、ふとおばあ様のことを思い出す。
おばあ様は愛煙家で、おじい様のプレゼントだというパイプたばこを、家事仕事の後に吸っていた。
うっとりとしているようで、しかし、どこか乾いたその眼差しが格好良くて、私にも吸わせろとせがんだものだ。
その度におばあ様は、これは、諦めとか、願いとか、疲れなんかを煙にして吐き出す道具だから、
そういうのがあんまりない私には美味しくないよ、と煙に巻いた。
ヴィネットの白い息は、期待が溢れ出した煙なのかもしれない。
息を吸うと寒さが鼻を突き、冷えた空気が頭をすっきりさせる。
私の中にも明るい気持ちが満ちてくるようだった。
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