178: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:50:53.64 ID:6an8YmUi0
シャワーを浴びるのも面倒で、そのまま布団を敷いて寝てしまおうと思い、ロフトへと向かおうとした。
そのとき、落ちた拍子に開いたままになっていたノートをなんとなく拾い上げ、
ボールペンで走り書きされた文章が目に入った。
――ガヴリールの家でラーメンを食べた。塩っ辛くて苦手だったが、こういうのも悪くない。
その記述を見た私は、見なかったことにすることも、破り捨てることもできなかった。
ただ、目を逸らすことができなかった。
それは、湯を張った浴槽の栓を抜き、蛇口をひねって湯を足すような心境だった。
笑うことも、泣くこともできず――誰にあてたわけでもないその文字列をただただ目で追っていた。
力を籠めず、淡々とページをめくり、文章を点検し、最後まで来たらまた初めから。
空になった缶が大きな音を立てて転がるように、空洞になった私の中でそれはよく響いた。
まるで機械か何かになってしまったかのように、私は床に座って壁にもたれかかりながら繰り返していた。
やがて、ページを繰る手も緩慢になり、いつしか私は眠ってしまっていた。
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