サターニャ「サタニキア百科事典」
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170: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:47:02.13 ID:6an8YmUi0



私はこぼれそうになる涙を必死にこらえていた。

経験上、こういうときには一度泣いてしまえば楽になる。

しかし、私はそれを許したくなかった。

涙をはじめとする体液は、海水とよく似た成分なのだという。

だとすれば、肌は陸と海の境界なのかもしれない。

生命は一生のうちに進化を再現し、海から生まれて陸に上がる。

赤ん坊が事あるごとに涙を流すのは、母の胎内が懐かしいからだろう。

だが、私は赤ん坊ではない。

理性という炎を感情という海に呑まれるわけにはいかない。





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