30:名無しNIPPER[sage]
2017/05/08(月) 22:26:54.65 ID:rWnHebTI0
P「」カタカタカタカタカタ
飛鳥「……一心不乱にキーボードを叩いてるよ。コーヒーでも淹れてやろうと思ったが邪魔しちゃ悪いな」
ありす「出社するなりずっとこの調子だそうですよ、ちひろさんから聞きましたが」
飛鳥「充分な睡眠も取れて頭がクリアな内にこなしてしまおうって魂胆か。よほど仕事が溜まっていたと見える」
ありす「私、Pさんが不眠症に悩まされていたなんて少しも気がつきませんでした……」
飛鳥「これぐらい一目で察せられるようだったらね。文香さん、船を漕いでどこへ行くつもりかな」
文香「…………はっ」
ありす「船を漕ぐ?」
文香「……座った姿勢で身体を揺らしながら眠っている様が、船を漕いでいるように見えることから……あ、私……すみません」
飛鳥「解説出来るようなら大丈夫だとは思うが、昨夜は眠れなかったのかい?」
文香「……。気になる物語を読み解きたくて……なかなか寝付けませんでした」
ありす「……ふ、文香さん! まだ少しならレッスンまで時間ありますし、もしよろしければ……その、試してみませんか?」
文香「試す……とは?」
ありす「不眠症のPさんがあれだけ早く眠れたのなら、他の方にも何らかの効果があるのかもしれません……。その実験も兼ねて、文香さんもPさんみたく私の…………時間になるまで、どうでしょう?」
飛鳥「フッ、相変わらず素直じゃないなキミは」
ありす「何のことですか!」
飛鳥「いや、文香さんも随分懐かれているようだ。ここはありすに甘えてみたらどうだい? それに、あるいはPが安らぐ理由も『理解』るかもね」
文香「…………では、そのご厚意に……ありすちゃん、少しの間だけいいでしょうか?」
ありす「勿論です! 文香さんなら、いつでもどうぞ」
文香「……お邪魔、します」 ポフッ
飛鳥「一見逆だろうとも思えるこの構図……しかしなかなか画になるな。なるほど……」
ありす「……どうですか? Pさん程ではないにしても、落ち着きますか?」
文香「……これは…………」
文香(一定の緩やかなリズムが生み出す安堵感……これが心音が安らぎをもたらすと謳われる所以……?)
文香(それに加えて、ありすちゃんから申し出てくれたこと……心を許してもらえているようで……この安らかな場所に居ていいのだと思わせてくれる安心感……)
文香(柔らかく、そして優しく包まれて……自然と身も心も委ねてしまいたくなる……)
文香(……Pさんが求めていたのは、こんなにも暖かな……)
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