68:名無しNIPPER
2017/04/24(月) 12:42:39.80 ID:WOJJWRsc0
時刻は午後五時十七分。夕暮れ時である。
「サメは夜行性だからな...頼むぜ〜サメちゃんよ〜」
そう、満が新たな契約モンスターとして選んだのはサメだった。
海のギャングと呼ばれ忌み嫌われるあの肉食魚である。
何度でも生え替わる鋭い歯とその巨大な身体。まさに強者と言える。
そして、ミラーワールドにはサメ型のミラーモンスターが存在している。
その個体はアビスラッシャーとアビスハンマーと呼ばれていた。
大きな手鏡を持ち、必死になって人がまばらになった臨海公園の
海の近くをうろうろとうろつく満。
「ねーねーママ〜。あの人何やってるの〜?」
「しっ!見ちゃいけません!家に帰るわよ」
すっかり日が暮れた午後七時。汗だくになりながら持参したタオルで
汗を拭い、砂浜で身体を休める満の横を三人家族が通り過ぎていった。
幸せそうに子供の手をつなぐ父親と母親と両親の愛を一身に受けている
その小学生くらいの子供に自然と満の視線は釘付けになった。
(母さん...)
まだ満が小さかった頃、自分を置いて家を出て行った母親。
今となっては顔も思い出せないけど、それでも幼稚園の時には必ず
自分の運動会や授業参観、遠足に参加してくれた優しい母親だった。
思い出したくない過去に無理矢理蓋をした満は、充分に休息を取った
身体を起こし、最後の捜索へと向かった。
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