【忍殺】マッポーの世をニンジャが走るpart.21【安価】-SS速報VIP

【忍殺】マッポーの世をニンジャが走るpart.21【安価】

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32:リターン・オブ・ドラゴンフライ ◆D8Rwi80caUI5[sage]
2017/04/23(日) 23:45:13.27 ID:7znYZ0Wko
　
「不味ったな」

走りながら寝坊を反省する
俺の名前は大庭　剛（だいば　ごう）
しがない探偵をやっている
探偵といえば聞こえはいいが、要するにただの何でも屋で普段は浮気調査だのペット探しだのをして糊口を凌いでいる有様だ

「まだ待ってるよな？」

今回の依頼は久しぶりの探偵らしい依頼なのだ
依頼人の気を損ねておじゃんにしては溜まらない
土下座も辞さない構えだ

「ちゃんといてくれよぉ？」

階段を駆け下りればもう目的地、Bar鉄輪だ
そっと扉を開けると落ち着いたピアノの音色が流れてくる

「遅いぞ、こっちだ！」

カウンターの奥から男が手招きしている
俺を叩き起こした電話の主で筋骨隆々の上半身に鎖を巻き付けた頭のオカシイ、いや個性的な男だ
アイアンリングという名前を聞けばピンとくるだろう
つまり、ボクサーを引退した後はバーの経営者というわけだ

「悪い」

「謝るのは依頼人にするんだな」

顎をしゃくった先を見やる

「アンタ・・・　いや、アナタが依頼人でしょうか？」

なるべく丁寧に話しかける

「は、ハイ。アナタが探偵さん・・・　ですか？」

控え目に聞き返してきた依頼人は２０代半ばの女だった
品の良い身なりの美人だ
こういう場所は慣れていないのだろう、身を固くして落ち着かないようだ
目の前に置かれた色鮮やかなカクテルには手が付けられていない

「ええ、探偵の大庭剛です。お嬢さんは？」

「冬子と申します」

「冬子さん？　それじゃあ、依頼内容を話してくれるかい？」

フルネームじゃないのは大した問題じゃない
重要なのは依頼内容だ

「はい、私の婚約者だった藤木戸　健司の死を調査してほしいのです」

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