24: ◆0gNrSCsr7k[saga]
2017/04/19(水) 22:24:31.54 ID:kvpTcz8Y0
◇君の名は◇
にこ(in真姫)「ひょっとして……!」
真姫(inにこ)「私たち……!」
2人「入れ替わってる〜!?」
そこからの西木野真姫の行動は早かった。
まず服を脱ぐ。身につけていたものを全て脱ぎ捨てて生まれたままの姿になる。スマホを取り出し、鏡の前に立ち連写する。自宅であれば一眼レフがあるのだが、この家には恐らく無いだろうことが口惜しい。
恐らく私の身体に入っているであろうにこちゃんが目覚めるのは恐らく私より早かったはず。そして私の行動を予測するのににこちゃんならば5分とかからないはず。ふふっ、強い信頼関係ね。ともあれ、彼女がここに到着するのはそう遅くはならないだろう。
それまでにやれることは全てする。全てだ。心残りなど残すものかと私はにこちゃんの下着の香りを全力で吸い込みながら決心する。
これがにこちゃんの匂い。全人類が求めて止まない芳醇なスメル。焼き付けねば。例え何があろうと忘れぬよう脳髄に刻み込まねば。
――だがしかし待って欲しい。
気付く。気付いてしまった。本当にこれはにこちゃんの匂いなのだろうか、と。確かにこれは私(にこちゃん)が穿いていた下着だ。それに間違いは無い。無いが、違うのだ。
例えば色。リンゴと聞いて人は自らの記憶にある綺麗な赤色を想像するだろう。だが、色弱の人間がいるように、決してそれは共通の認識ではない。異常が無いと診断された人でさえ、同じ物体を見ても見ている色は異なるのだ。
ならば匂いも同じではないのか。この下着を嗅いで感じる匂いはにこちゃんが感じている匂いであって、西木野真姫の感じるであろう匂いとは違う。
だとしたらこれは、今私が感じているこれは――全世界、全宇宙で、矢澤にこしか感じることの出来ない、ただ一つの香りなのではないのか。
真姫(inにこ)「クオリア……」
にこ(in真姫)「アホかーーーッ!」バァンッ!
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