156:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/15(金) 02:18:27.14 ID:4at+WzIq0
大井さんと北上さんの私室は二階の一番端っこにある。痙攣しそうな脹脛の意識を切り離し、私は痛みを殺す。
一段。一段と階段を登り、私はその一室の前に立つ。
ふと懐かしく感じたOiと、Kitakamiと書かれたピンクの表札の文字に、私はその時が本当に来たのだと実感する。
その表札の文字の周りには、じょうろと趣味の悪い魚雷のシールが貼ってある。
前々から大井さんが探していた魚雷のシール。どこにも売ってないと不満を漏らしていたのに、とうとう見つけたのか。
一体どこに魚雷のシールなんて売っているのだろう。拘りってのは本当に見境いがないと私は思った。
何度目かの深呼吸、肺に突き刺さる空気に少し私はむせる。若干鉄分の味、血の味がした。
インターフォンを押す。山から降りてきたひぐらしの声に混じり、機械的な音が響き渡った。
私は髪の毛を弄り始め、何から話そうか考えを巡らせる。
215Res/148.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20