501: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/06/08(金) 05:38:23.00 ID:SfivEjrbO
「………ジュン…。」
最後、彼の名を記した所には…涙の跡がありました。
それを塗り潰すように、手紙に次々と新しい水滴が落ちて行く。
ジュン……私、そんなにいい子じゃないよ。
今だって…前なんて向けない…。
あの日、艤装の解体が一日遅れていたなら。
あの時、私が代わりに撃たれていたなら。
“青葉聞いた?3日ぐらい前から、○○鎮守府の提督が行方不明だって。”
……もっと早く、私が自分の気持ちに気付けていたら。
こんな事には、ならなかったのかな。
かなしくて、さびしくて、いたくて。
あなたをころしたすべてさえ、こんなにもにくいまま。
いまどこにいるの?
さむいところ?
ひとりは、さびしいよね…あっためてあげたいし、あっためてほしい。
骨壷を開けて、そこにはジュンがいて。
私はバラバラになったジュンを手に取って、彼を飲み込んで。
飲み込んだ彼が食道を切って、咳をしたら血を吐いた。
それでも飲み干す。
私の中で生きて。身体の中は暖かいよ。
血になって肉になって、ずっとそばにいて。
わたしのなかで、いきつづけて。
気付けば、小さな骨壷の中身は半分程になっていました。
掌と鏡に映る唇には、真っ赤な血がこびり付いていて。
この瞬間、彼が死んだあの日以来、初めて笑えたのです。
彼が愛してくれた笑顔とは、程遠いそれを浮かべて。
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