438: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/04/10(火) 22:50:42.25 ID:Lc80g2O1O
銃声が響いた後には、ただ静寂が訪れて。
壁の穴から入る潮騒だけが、私達に時を教えている。
心臓を貫いた弾は、扶桑さんの意識を奪っていました。
ジュンに抱き抱えられた彼女の目は、きっともう見えていないでしょう。
それでも彼女は……私達に、優しく微笑んでくれました。
ジュンの胸の中で、最期に力なくその手を落として。
私と山城ちゃんの啜り泣く声の中で、ジュンは扶桑さんの目を閉じて。
その時帽子で隠れた目元から、ひと筋伝うもの。
それだけでも、彼の悲しみが如何に深いのかは表れていました。
「…現時刻を持ち、今作戦を終了とする。
殉職した戦艦扶桑に、一同敬礼!!」
扶桑さんの遺体に、最後に敬礼をしました。
その時やっと、全てが終わった事を実感して。
嗚咽も出ない涙が3つ、ただ床を濡らしていました。
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