356: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/03(土) 03:38:01.91 ID:rBI88CKnO
気付いたら秋も終わって、冬になってた。
出所してから暮らし始めたのは、パパの地元の雪国でさ。
横須賀生まれで、その後も県内や京都にいた私にとっては別世界だった。
地元の人は気にしないような、色々な事が目に付くぐらいね。
例えば…吹雪の日は、音も声もあんまり通らないとか。
ほんとに静かなんだ、まるで『あの日』みたいに。
彼は丘の方にある住宅地に住んでた。
そこはね、元は小さい山を開発した場所で…途中の坂のゾーンには、家が無かったの。
坂は大分曲がりくねってて、その分距離があって。
人が住んでる内に、だんだん山を突っ切る感じで裏道が出来ててね。
高校生ぐらいの時ってさ、結構雪とか気にしないじゃない?だから雪の日は地元の人も通らない裏道も、彼はいつも通りに通ってた。
毎週水曜日は、彼の部活は長いの。
雪国だから、特にそれも変わる事は無くてね。
そんな水曜日。
私は吹雪の中、じっと彼が来るのを待っていた。
ちなみにそこ…麓の方は畑しか無いんだよね。
557Res/457.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20