331: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/01/23(火) 06:27:38.68 ID:zzMbTBd6O
その時聞こえて来たのは。
艤装のくぐもった声で囁かれた、私の本名。
やがて煙が晴れて、目の前には巨大な艤装の姿。
生身の方の腕は、私へと伸びていて…その時初めて、二の腕の内側が見えました。
そこには、卍状の傷が一つ。
“卍男、遂に逮捕。当誌記者の取材過程にて犯人判明。”
“ご遺体の右手にSDカードが。”
“私は気付いてる。人型の奴らは海に沈んだ死体を基にしてるんだって。 ”
いたいはあたまからみぎうでにかけてしかみつかっていない。
このぎそうのなまみはひだりうで。
あのひとのひだりうでにはまんじじょうのきずが。
その時、私の中で次々と記憶が蘇り。
情報が、そして激情が駆け抜けて行きました。
この不自然に屈強な腕は、無理矢理肥大化させられたものでは?
そうだ…深海棲艦が雌型だけだなんて、私はいつどこで、誰に習った?
日頃の座学でも、研修でも習った事は無い。
日々戦う内に、勝手に私の中で生まれた常識だ。
一体何コンマ、何秒の間のことなのか。もう分かりませんでした。
ただ、この直後。そんな永遠の一瞬も、破壊されてしまうのです。
「マ……リ………コロシ、テ、クレ……。」
この言葉が、私に全ての確信を与えた事によって。
うそ、だよね……どうして、ここにいるの……?
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