2: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/11(火) 02:55:00.86 ID:2/pFdI7xO
夜の執務室を開けると、よく音楽が流れてるんです。
それはその日の任務も終わって、いつも司令官が 一人になる時間。秘書艦を務めることが多い青葉は、夜に用ができて執務室を訪ねることも多くて。
そのメロディと歌詞を、何となく覚えてしまったんです。
日々の中で、時折その曲を思い出しては、彼の顔が浮かぶんですよ。
どんな時も穏やかで、何が起きても焦ったりはしない。その冷静さに救われる事もあるけど、たまに、彼が怖くなるんです。
昔仲間が死…いや、沈んでしまった時も、彼はあくまで皆を慰める為に動き、同時に慌てるそぶりも見せなかった。
優しい鉄面皮だって、思ってしまう時があって。
司令官が笑うたび、執務室でよく掛かってる曲の一節が、頭を過るんです。
『笑いながら死ぬ事なんて、僕には出来ないから』って。
初めてそこに出くわした時、彼はタイトルを教えてくれました。
天国旅行。
彼にとっての天国とは、何なのでしょうか。
いつも取材として色んな事を探ってる青葉も、これについてはずっと訊けないままでした。
でも、記者魂と言う奴なのでしょう、青葉はその件に関して、結局深入りしてしまったのです。
結果として、確かにネタが出来ました。
ただしそれは、誰にも見せられない記事で。
これは、その記録です。
私とあの人だけの、秘密の。
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