182: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/09/17(日) 08:47:22.63 ID:MG+FbVqhO
「………はぁ?な、なにを言ってるのかしら?」
「いえ…そうなのかなーって。無理にゴキブリの如く嫌ってるようにお見受けしたものでして。」
「ごくごく自然な事よ。元々気に食わなかったし、姉様を傷付けられたなら当たり前でしょう?」
へー……じゃあ、何でそんなにへらへらしてるんでしょうねえ?
ふふ…あの男もそうでしたけど、人って狼狽えると薄笑いになりますよね。
追求される程、痛い所を突かれる程、焦った笑いがボロボロこぼれてくる。
“__。人と本ってのは似てるんだよ。”
叔父さんの言ってた事、本当ですねぇ。
でも彼はこうも言ってました。
“だけど取材の肝はな、その行間や伏線に隠したものを読み解く事だ。”…って。
「くす……山城さん。艦娘以外にやりたい事って、ありますかぁ?」
「な、何よ…。」
「青葉には、あるんですよ。元々ジャーナリスト志望なんですけど…最終的には、小説やエッセイを書きたいんですよね。
プロットを貯めてる小説があるんですけど、あなたに聞いてみて欲しいなって。」
「い、嫌よ…何であんたの妄想なんて…。」
「まぁ聞いてみてくださいよ…内容は、架空戦記にして恋愛小説、と言った具合ですかねえ。
それはね、ある姉妹のお話で…お姉さんの恋人を好きになってしまった妹の話なんですよ。
それは初めから叶わぬ恋でした…ですが彼は軍人で、そしてある日突然戦争が起きてしまって…。
そして彼は、戦地で心を壊して帰って来てしまう。
……そんな導入なんですけどねぇ。」
「……!?嫌…やめて……。」
「まぁまぁ、きっと面白いですから。是非とも……。」
彼女の瞳孔が怯えを孕んだのを、私は見逃しませんでした。
でもこれは小説のプロット。あくまで妄想で、与太話なんですよ。
だから何も、『彼女の事なんて書かれてはいない』ただの小説。
それを私が一方的に聞かせるだけ。
でも……刺さる人には刺さるかもしれませんねぇ…!
「じゃあ、聞いてください……。」
そして私は、ポツポツとそのプロットを語り出したのでした。
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