八幡「ゲームが完成しそうだからすぐこい?」 ルナ「ルナのゲームだよ」
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23: ◆SqZQSXA.b2[saga]
2017/05/01(月) 00:06:54.88 ID:iiuAFmQW0
腹立たしいことに向こうは、俺の意図などとっくに見抜いているようだ

ならば、アクションを起こさなければならないのはこちらの方だ。

八幡「それは、できる。できるんだが・・・」

カードを握る掌に、汗がにじむ。

この状況を打破するための『命令』なら、このかくれんぼの最中に思いついた。

ただ逃げ回っていたのは、最初だけ。

切り札をもっとも効果的に、汎用的に、かつ持続的に用いる方法は

この世界に来てからずっと考えていたのだ。

八幡(しかし、それは安全な場所を確保してから、行うつもりだった。

カードを使用することで、消費される生命力は莫迦にならないことは分かっている。

万が一動けなくなったところを、敵に襲われるような事態は極力避けたかった)

今は、そんな贅沢を言っていられる状況でもない。

完全に日が沈めば、森は月の光すら届かなくなる。

そうなれば、カードを切るタイミングすら見失いかねない。

俺はポケットから天剣の乙女の絵が描かれたカードを音もなく引き抜く。

八幡(以前までだったら、絶対に言わないような『命令』だが

きっとこれが最善。むしろそう思わないと、やれない)

カードに向かって苦い経験と自己嫌悪の混ざった、願いを漏らす。

八幡『俺が止めろと言うまで、タスケテ』

タスケテ。

それは、ラビットさんをさんざん傷つけて、死まで追いやった、呪いの言葉だ。

言ったのは、それと同じ轍を踏まないように、期限を付け加えたものだが

それでも今まで築き上げてきたプライド、あるいはそれ以上に大切なものを改めて踏み砕いた。

その破片が柔らかい皮膚をぱっくりと裂き、深々と食い込む。

それは耐え難いほどに痛くて、弱い自分のままなのだと思い知らされる。

比企谷八幡は、自分のことが基本的に好きだ。

板についてきた自己犠牲も、好きな自分でいる為のものだ。

だけど、この世界では他人が犠牲になる。自己犠牲なぞ、許されない。


それが、今も昔も、自身のアイデンティティを揺さぶり続ける。



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