永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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526:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 20:02:53.22 ID:gi94QXUf0


(…………ねえ)


(…………はい)


(じゃあ…………その話が本当なら…………)



(――――”あたしは一体誰なの”?)



 てゐの理解を遥かに超えた顛末は、てゐにとっては混乱しか生まなかった。
 ま、お節介も度が過ぎれば迷惑と同じって事さね。
 おかげでてゐは――――今度こそ”自分が誰かわからなくなった”。


(……ご当人にすらわからない事を、私が知る由もございません)


(なにそれ……変なもやもやだけ残しやがって)


(ただし…………その”お手伝い”はできるかと)


 その「お手伝い」こそが、男の言う「お礼」だった。
 わざわざ仲の悪い兄妹達に会いに行ってたのはこの為。
 時に追い立てられながら、時にボロクソに煽られながら……
 てゐの為だけに、必死に探し回ってたらしい。


(かつて、”貴方によく似た兎”が最初に住んでいたとされる地……この書によれば、未曾有の洪水によって飲まれて消えたとありますが)


(――――消えてなかったんですよ。あの月に愛された大林は……”今も確かに存在している”)


 すなわち、「てゐの探し物を一緒に見つけてあげる」事。
 と言いつつもまさか、ここまで苦労させられるとは思ってなかったみたいだけど。
 でもまぁ、なんだかんだで、結局は見つけれたのよさ。
 自分達すらも知らなかった――――”もう一つの世界の入り口”をね。





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