永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/12/11(月) 01:41:29.89 ID:1YXGx6kN0
見えない御利益にあやかりに来たのに、実はやろうと思えば見ることができたって言う……
説法的な話じゃないよ。本当に、”幸せは目の前にいた”の。
薬売り「じゃあ何故……人々は、兎を見ることができなかったんですかね」
兎「んなの単純じゃん……”いないと思い込んでたから”」
幸せは目に見える物じゃない――――「形なき存在である」。
概念的な存在であり、決して理解できない”独自の理”によってのみ動く。
長年かけてそう刷り込まれたもんから……見えなかった。
と言うより、”見えてるのに認識する事ができなかった”。
兎「だから求めた……幸せを、目に見える形で認識する事を」
薬売り「だからこうして訪れた……遠路はるばる、世界中の土地から」
そうそう、ちなみに余談だけど、特にやってくるのは「つがい同士」が多くてね。
あんたも御存じの【因幡の白兎】。この話からもじって、兎はいつの間にやら「良縁を取り持つ仲買兎」って事になってたのよ。
実はな〜んもしてないのに……ま、噂の起こりなんて所詮こんなもんさね。
薬売り「それに……知ったところでどうせ見えませんしね」
兎「そんな感じで、噂が噂を呼び、尾ひれ背びれが大量についたあげくの果てに、さ」
兎「もはやてゐは――――”自分でもよくわからない”存在になった」
薬売り「……」
真偽不明の噂を真に受けてやってくる連中を、てゐはずーっとここから眺めてた。
そして言った……「アホ共め」。
祈りを捧げた連中に、御利益が訪れたかまでは知らない。
あのつがい同士は無事結ばれたのかなんて、知ろうとも思わない。
ただ、祈りを捧げた後に、やたら「幸せそう」な顏をしてる連中の姿を見て……てゐは思ったわけ。
兎「何か……わかるかい?」
薬売り「いえいえ、御仏のお考えなさる事など、恐れ多くてとても……」
兎「あ、茶化してる〜」
でもまぁ、てゐ本人は何時だってシンプルさね。
てゐは思ったのさ――――”世界は向こうからやってくる”。
かつて手に入れたがった「知」の欠片たちが、 わざわざ自分から足を運ばずとも、向こうの方から各々の「知」を述べに来る。
そうなりゃもう、旅なんてする必要ないよね。
兎「だからてゐはもう、島を出ようと思わなかった……」
兎「てゐはただ、かつての友が残した箱で、ゆらゆら揺れてるだけでよかった」
自分を育ててくれた島の中で、かつての記憶に思い馳せているだけで――――
それだけで、誰かに幸せを与えられたから。
兎「旅に費やした以上の、長〜い長〜い時の中で、ね」
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