永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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488:名無しNIPPER[saga]
2017/12/10(日) 21:44:48.30 ID:U8yEZtnF0


薬売り「ここはよもや……先ほど兎が言っていた……」

兎「鋭いね薬売り。そう、この場所こそが……”かつて兎が世界を見た場所”さ」


https://i.imgur.com/AIcST5h.jpg


兎「う〜ん、やっぱりいつ見ても絶景だわさ」

薬売り「なるほど……確かに、切り取りたくなる風景だ」

兎「さすがに雨が降ったらちょっと霞むけどね……でもその後は、”決まって虹が架かる”」

薬売り「その虹が架かっていたからこそ……”世界は兎の目に触れた”」


 みんな気づいてたんだわさ……兎が外に行きたがってる事をね。
 だってそりゃあさ、毎日よろしくやってた兎が、突然景色ばかりを見るようになったんですもの。
 大変だったと思うわさ……”わざと気づいてないフリ”をしてやるのも。 


薬売り「兎がいなくなったこの地で……残された者共は、兎の墓を建てた」

兎「墓って表現はちと微妙だね。この場合、”兎がいなくなる前から進んでた”って言った方が正しいわさ」

薬売り「おや、どうして……?」


 兎の思惑に感づいた島の生き物たちは、こっそりと、とある計画を企てた。
 その内容こそが「海を渡る方法」。
 島の生き物達は、決まった時間に話し合いの席を設けた――――兎だけを外してね。


兎「こういうのを、異国の言葉で”さぷらいず”って言うらしいわさ」

薬売り「驚き……の意ですな」


 ただ一つ、その「さぷらいず」計画には問題があったのよさ。
 悲しい事に……揃いも揃って”アホ”だった。
 もう、それは、今では考えられないくらい……だーれも、なーんも知らなかったのよさ。


兎「作り方とか以前に、船と言う存在すら、もうほんと、何もかもを」
 
薬売り「まぁ時代が時代ですから、そこは……」


 おかげで秘密の計画は大幅に遅延……ていうか、始まりすらしなかったわさ。
 だって、だーれもなーんも知らないんだもんね。
 そして、何も始まらないまま、兎だけが知らない秘密ができた……



(――――ずっと小さなままでいればいいのよさ……こんなちっこい、塵みたいな島で)



 結局、そんな内緒の「さぷらいず計画」は、一つの不幸を生んでしまった。
 本人も言ってた通り――――兎がそれを「仲間外れ」と受け取ってしまった事さね。



【曲解】




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