永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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389:名無しNIPPER[saga]
2017/11/25(土) 23:21:38.86 ID:cTjbZ6OQ0


てゐ「そりゃそーでしょ。あんたの持ち物でスペカに相当する物って、ソレしかないじゃない」

てゐ「モノノ怪を斬る事ができる唯一の剣……だっけ? 唯一無比の価値だからこそ、勝ちの証に相応しい」

てゐ「違う?」


 妖兎の謀りは留まる事を知らず、確実に薬売りを追いつめつつあった。
 一見すると平等な賭けの提案であるが、当然その腹に平等の二文字などありはしない。

 地の不利。弾幕の不利。理の不利。能力の不利――――
 あらゆる状況が、すべからく妖兎の味方をしている事実。
 「妖兎の提案が、確かな勝算に基づいている」。
 如何に夜更けであろうとも、そんな露骨な打算に気づかぬ程、未だ薬売りは呆けていなかったのだ。


薬売り「一つ、お聞きしたい……」

てゐ「あ? 何よ」

薬売り「この退魔の剣を指定すると言う事は……万一あっしが負ければ、もはやあっしにモノノ怪に対抗する術がなくなると同義」

薬売り「そして、術がなくなる事で……”得をするのは一体誰か”」

てゐ「まどっろこしいなぁ。一体何が言いたいわけ?」

薬売り「貴方はやはり、モノノ怪の正体に気づいている……そして”全てを知った上でモノノ怪を庇おう”としている」

薬売り「あっしに斬らせない為に……退魔の剣を奪い、モノノ怪すらも永遠の一部にする為に」


 うむ……身共も薄々感じていたが、やはり薬売りもその結論に達したか。
 これまでの妖兎の態度から察するに、妖兎も”モノノ怪側”であったと断じざるを得ないのだ。
 それが如何様な理か、推し量る術はない。
 しかしやはり、妖兎の今迄の軌跡を振り返るに……”モノノ怪に組していたから”と考えれば、全ての合点が通ってしまう。

 
てゐ「何……探り入れてんの?」

薬売り「いえ、滅相もない……しかしそう感ずる程に、貴方の行動は不振に塗れていたのもまた事実」

薬売り「差し支えなければ……理に触れぬ範囲で結構ですので、お教え願えませんか?」

薬売り「貴方の行動が……”一体何に沿った行動であったのか”を」


 それは、今の薬売りにできる、精一杯の足掻きであった。
 かつて数多の「真と理」を白日に晒してきた薬売りが、今や懇願する事でしか知る術がないのだ。
 こうなれば、よもや……妖兎が上手い事、口を滑らす事を願うばかりである。


――――しかし




てゐ「ちんどん屋さぁ……”シュレディンガーの猫”って知ってる?」


薬売り「猫……?」



 かのようなか細い稀など、往々にして起こるはずもなく――――
 妖兎の口から、またも新たな謎が生まれたのだ。



【理論】


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