永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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279:名無しNIPPER[saga]
2017/05/17(水) 02:11:09.07 ID:PrSgG1Elo


(あたた……もう……てゐの奴……)

(毎日毎日懲りずに……一体、何が楽しいのかしら……)


 兎の毎日はほぼほぼ決まっていました。
 朝起きて、用事を済ませ、人里に薬を売りに行く。
 合間に余った時間を勉強に費やし、食事の支度をし、掃除をし、夜になれば床につく……そんな日々でした。
 そして目を覚ませば、また最初から繰り返しです。


(ほんと……いつまでもバカなんだから)


 時には疎ましい時もありました。
 特に、毎度毎度落とし穴を仕掛けてくるバカのせいで、随分まぁ無駄に頭へ血を上らせたものです。
 ですが――――穴に落ちる度に、兎は感じました。
 痛む尻。猛る声。穴から這い上がろうとする手。そして、穴から空を見上げる目……
 「自分はまだここにいる」。そう感じさせる程度に、穴は、繰り返される日々の中に走る生の刺激だったのです。


(お師匠様に……言いつけてやるんだから)


 ですが、兎が穴から空を見上げるのと同じように――――
 空から穴を見下ろす瞳があった事を、兎はすっかり忘れておりました。


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