永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/05/17(水) 02:11:09.07 ID:PrSgG1Elo
(あたた……もう……てゐの奴……)
(毎日毎日懲りずに……一体、何が楽しいのかしら……)
兎の毎日はほぼほぼ決まっていました。
朝起きて、用事を済ませ、人里に薬を売りに行く。
合間に余った時間を勉強に費やし、食事の支度をし、掃除をし、夜になれば床につく……そんな日々でした。
そして目を覚ませば、また最初から繰り返しです。
(ほんと……いつまでもバカなんだから)
時には疎ましい時もありました。
特に、毎度毎度落とし穴を仕掛けてくるバカのせいで、随分まぁ無駄に頭へ血を上らせたものです。
ですが――――穴に落ちる度に、兎は感じました。
痛む尻。猛る声。穴から這い上がろうとする手。そして、穴から空を見上げる目……
「自分はまだここにいる」。そう感じさせる程度に、穴は、繰り返される日々の中に走る生の刺激だったのです。
(お師匠様に……言いつけてやるんだから)
ですが、兎が穴から空を見上げるのと同じように――――
空から穴を見下ろす瞳があった事を、兎はすっかり忘れておりました。
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