20: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/16(木) 00:56:33.16 ID:mBfbfeoZ0
続いて、救助のための道具を準備します。ここでの妥協は一切許されません。安全かる信頼できる装備を用意し、万全の体制を整えなければえらい目を見るのは自分なのですから。
「まずは島に渡るための船を調達したいのですが……」
「すでに漁師さんから一隻お借りしました!」
さすが助手さん、名前に恥じぬ仕事ぶりです。さっそく船が止めてある波止場に向かいました。
向かったんですが。
「…………」
「姐さん?」
「助手さん、この波止場、船が見当たらないんですが……」
「あれですよ、姐さん」
助手さんが指さした先には、廃材の塊が浮かんでいました。
「わたしの目が確かなら、あれは流れ着いた粗大ごみでは?」
「漁師さん曰く船みたいです」
「……イカダの間違いでしょう」
いえ、イカダの名称すらそれには不釣り合いだと思えるようなものでした。こんなもんに乗ったら最後、二次遭難確実です。むしろ我々の方が危ないです。
「これしかなかったんですか?」
ひきつる笑顔を浮かべて助手さんいといますと、彼も申し訳なさそうに目を伏せます。
「ありませんでした」
残酷な返答。しかしこれは助手さんが悪いのではありません。わたしはポシェットに目をやります。
「あまり目立つことをしたくはなかったんですが……」
自分が遭難するよりましです。ポシェットの中から日持ちのするバタークッキーと丸いカラフルな球体を取り出しました。
「妖精さーん」
「「「「はいー」」」」
現在の地球の支配者と認識されている、我々の魔法の源流、妖精さんがぽぽぽぽんという破裂音とともに登場しました。
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