180: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/21(火) 14:24:12.68 ID:3m83T0D/0
「……悪い、もう、限界」
ジャガーさんがはぁはぁと荒い息を吐きながらハンドルを手放しました。
「私もー」
カワウソさんもへたれこみます。漕ぐ者がいなくなったので、トロッコはがくんとスピードを落としていきました。
「あわわ!! みなさん!?」
あわててハンドルを動かしますが、わたしはただのか弱い乙女です。先ほどまでのようなスピードは出ず、セルリアンとの距離はどんどん詰められて行きます。
「頑張りましょう! ここでへばってはセルリアンのエサですよ!」
まあ頑張って進んでも谷底に向かいそうですが。わたしも含め、あきらめムードが漂っています。
「ああ、最後にお菓子が食べたかったな……」
「私も食べたかったー」
わたしは、セルリアンとジャガーさん、カワウソさん。そして迫りくる谷をそれぞれ見比べました。谷の向こう岸までは数十メートルといったところでしょうか。
もはや賭けに近いですが、ある考えが浮かびました。妖精さんがいれば何でもないでしょう。ですが0Fの今、この作戦が成功する確率は0に等しいです。
しかしやらずに死んでしまうよりよっぽどましです。わたしは意を決して、ポシェットからキャラメルを取り出しました。
「お二人とも、これをどうぞ」
「お菓子かいっ!?」
「なにこれー?」
「キャラメルです。おいしいですよ」
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