88: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/02/12(水) 16:05:42.75 ID:SmP+Np6x0
辺古山 「よしっ! 爪研ぎと、トイレの準備は終えた」
辺古山 「お前のトイレはここだからな。爪はコレで研ぐのだ」
辺古山は俺の世話のために買ってきた物を順々に袋から出し、トイレと爪研ぎを用意した。トイレ……仕方がないとはいえ……いや、そうだな……。あるのは非常に助かりはする。使わせて……もらおう……。
「にゃー」
鳴いて答えると、辺古山は何故か誇らし気に胸を張って頷いている。
辺古山 「それから……遊ぶかも、気に入ってくれるのかも不安だが、オモチャを買ってきたのだ……どうだっ!?」
いくつか並べられるオモチャ。ここはガッカリさせないように、反応を示しておこう。
手始めに、前脚でボールをコロコロと転がす。運動をしたくなったら、コレを使うか。そんなことを考えていると、辺古山は興奮しながらカメラを構え、連写したり、いろんな角度で撮影をしている。落ち着かねーな……。
しばらくボールを転がしていると、辺古山の手には猫じゃらしが握られていた。ふむ。辺古山の猫じゃらし捌き、どんなモノか見せてもらおうか。
辺古山 「リュウは、猫じゃらしに戯れてくれるか……?」
俺の前で猫じゃらしを左右に揺らし、俺の動きを見るような挑発をしてくる。動きを追って顔を左右に振る。
辺古山 「コレは……っ!! 動画の方がいいなっ!!」
どうやらカメラのモードを動画に切り替えたらしい。
初速を上げるために、身体を目一杯に縮め、脚のバネを使って床を蹴り上げ、猫じゃらしに飛び付いた。
バシッ!
猫じゃらしを捕える。しかし、まだこの身体に慣れていないせいか、キレがないな。動きの悪さについて考えていると、辺古山の瞳がギラついた。
辺古山 「クククッ……やるな、リュウ……っ! お前の狩猟本能、どれほどのモノか! 見せてみろ!!」
辺古山はカメラを構えながら、猫じゃらしの動きを速くする。
「!」
ときおりフェイントを挟んだりしてくるため、動きの先読みで捕まえる。
辺古山 「リュウは狩猟の才能もあるのだなっ! なんでもできてしまうとは……っ!」
辺古山は頬を紅潮させ、興奮気味に猫じゃらしを握る手に力を込めている。これは、自分の子供が出来る子で喜んでいる感情か……?
運動ができて満足できた俺は、目に入ったネズミのぬいぐるみを咥え、ソファに運び、もう一度降りて、抱き枕にできるぬいぐるみもソファに運ぶ。可愛いからじゃないぞ。興味を示しているだけだ。そう、それだけだ。
前脚と後ろ脚に挟み込み、目を瞑る。
辺古山 「くっぅぅっ!! 天使……っ! 天使がいるっ!!」
辺古山は瞳を潤ませ、感極まった声色で俺に向けてシャッターを切った。本当に何枚撮る気なんだ?まぁ、初日だから、仕方ないのかもしれない。止まらないシャッター音を子守唄代わりに、俺はもう一度眠った。
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