女「手…離さないでね?」男「…うん」
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16: ◆nRrk0j/cII[sage]
2017/03/07(火) 22:56:07.87 ID:fQqIpxIUo


男、女「……せーの!」


崖から飛び出す。

空を見る。

だんだんと遠くなる。

左側の彼を見ると笑っていた。

私は笑えているのかな…。

きっと引きつってるだろうな。

あぁ、潮の香りが心地いい。

そんなことを考えた。

次の瞬間、背中に衝撃。

冷たい。

小さな気泡が目の前を覆う。

何も見えない。

全身の感覚がなくなっていく。

意識が遠のく。

口から大きな空気の塊が出た。

沈みつつあるのか、

浮かびつつあるのか、

それさえ分からない。

もしかしたら水中をクラゲみたいに彷徨っているのかもしれない。

もう全身の感覚はない。

左手が何かを掴んでいるのかも分からない。

どうか離れていませんように、離れませんように。

最後にそう願って、僅かに残っていた意識を手放した。





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