103:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/04/01(土) 10:39:13.08 ID:fPDAiR9v0
"冬(ふゆ)"
九頭龍の手から出た光がおさまった後。俺たちの座るテーブルにはでっかいコタツがでーん!と
鎮座していた。ご丁寧に山盛りのみかんが乗っかって、猫が「ごろにゃ〜ん」と鳴き声を出している。
左右田 「ギャハハハハ!!なんだよこれ!!よりによってコタツ!コタツって……」バンバン
九頭龍 「うるせえ、テメーはコタツも知らねーのか!!日本人なら冬はコレ一本だろーが!!」
辺古山 「坊ちゃん、昔みたいにみかん剥きましょうか?」
終里 「いいからさっさとこのコタツ消せって、前が見えねーよ」
日向 「終里、そういやお前の文字は何だっけか」
終里 「おうっ、オレはシンプルに"闘(とう)"って書いたぜ!なんつーかこう、体中に力がみなぎって
来るっつーか、とにかく強くなれる感じがすんだよ!」
弐大 「終里の文字は美しいぞぉ!!両腕に蛇柄の装甲がついてな、始も一発で吹き飛ばしたくらいじゃあ。
ワシは"助(じょ)"で、能力の限界値を伸ばしてやることができるぞ。いつでも頼め!!」ガッハッハ
ソニア 「わたくしの"生"も、同じく能力を強化する文字ですので、みなさんのご応募をお待ちしておりますね」
日向 「はは、頼りにしてるぞ」
罪木 「あ、あのぉ…私の"癒(いやし)"は、致命傷までは治せないみたいですぅ…ちょっと、
遺言を話す時間を作るくらいしか……あと、あんまり重い傷でも、
完全には治せないみたい、なので……なので、皆さん…気をつけてくださいねぇ……」
西園寺 「最初っから当てにしてないから。人殺しの手当てなんかいらないっての」ふんっ
罪木 「西園寺さんは、何の文字……あああ、ごめんなさいぃ!私ごときが気安く話しかけてごめ「"舞"」え?」
西園寺 「だから……なんか、説明めんどくさいし」カッ
"舞(まい)"
罪木 「ま……ひゃあっ!?」
西園寺は立ち上がって、扇を広げる。それに合わせて罪木も自動で立ち上がり、全く同じ動きをした。
くるくる回って、両手を広げる。一部の狂いもなく舞う二人に、小泉は「いいよー!」とシャッターを切った。
罪木 「はっ、はあ……はあ……はひぃぃ……」ガクガク
西園寺 「うっわー、ゲロブタの足が生まれたての小鹿みたいだよー。きんもーい」
……あれ?
いつもだったらもっと嬉々として罵ってたと思うんだけどな。
なんだか、西園寺が無理しているように見える。
豚神 「舞には、相手を弄ぶ。転じて"弱いものをいたぶる"という意味もある」ペラッ
西園寺 「それ……どういう意味?」ギョロッ
豚神 「いや、ただ字義を教えたまでだ。覚えておくと役に立つぞ」フッ…
まだ西園寺は相手を睨みつけている。十神らしい皮肉なんだが……言い返さないのが、らしくない。
狛枝 「僕は"運"だよ。元々の才能を他人に対しても作用できるようにしたような能力だね……こんな形で
才能をコントロールできて、しかもそのきっかけが、絶望を振りまくようになった
学園長だなんて……ああ、ごめん。僕みたいなゴミ以下の才能がどうなろうと、
君達とは何の関係もないよね。こんな無駄な言葉を聞かせてごめんね?」
こいつは学園長に特別な思い入れがあるみたいだ。
花村 「ところでみんな、お腹が空いてきたんじゃないかな?」
豚神 「そういえば……夜食にはちょうどいい時間帯だな」
花村 「ここでちょっと休憩にして、ぼくの新作レシピを味見してよ!」ガラガラ
そう言うが早いが、花村は厨房から白い布のかかった台車を運んできた。
こいつの文字はたしか『食』だったな。天からレシピが舞い降りてくるとか?
しかし、そんな予想を裏切って、台車にあったのは。
204Res/358.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20