メイド「私の嫌いな貴方様」
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48: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2017/03/16(木) 21:52:46.87 ID:/Yrn7xeM0


――――。

女 (お姉ちゃんの車に乗って学校へと向かう)


女 (助手席が空いていたが、座る気になれずスルーして後部座席に座った)


女 (私の横にはチラチラとこちらをうかがうお嬢様が)


女 (何か話したいのかしら、などと思いつつもこちらもスルー)


女 (私は斜め前にある運転席の彼女を見た)


女 (大人の女性)

女 (そんなお姉ちゃんの顔をにらみつける)


女 (ちょっと見ない間に随分変わったこと)

女 (嫌みったらしく内心で毒づいた)


女 (何故だか悲しくなって、そうっと制服の上からネックレスを掴んだ)


女 (お姉ちゃんはここ数年、家――実家に帰って来ていない)

女 (忙しいとかそんなのが理由だろう……)


女 (夏になると、今年こそは帰ってくる、そんな期待を抱いて過ごした)

女 (今年はどうかと夏休みの始め。まだかまだかと待った盆。来なかったとしょぼくれる始業式)


女 (そんな自分に嫌気がさしたのが去年。その夏)

女 (自分の進路を決めあぐね、どうしようかと悩んでいたころ)

女 (いや悩んでいたのは進路のことだけじゃない。手持ち部沙汰な自分の気持ちにも)


女 (そして決めた。今年の夏、お姉ちゃんが帰ってこなかったら遠くの学校に行こうと)

女 (地元にいるとお姉ちゃんといった場所、遊んだことがいちいち感傷を刺激して辛かったから)

女 (新しい場所で人間関係のすべてをリセットして、普通の青春をおくろうと――)

女 (その結果が……)


女「はぁ……」
                ドライブ
女 (とうの待ち人と同じ車に乗って登校か……)


女 (再びお姉ちゃんをじっと見つめる)

女 (シャギーが入ったセミボブの髪、うっすらとされた口紅、甘い匂いの香水……)

女 (化粧なんて私の知っている頃よりしっかりとしている)


女 (やっぱり、大人だ)


女 (ネックレスから手を離した)


女 (いやに悲しくなった……)

女 (あの頃のお姉ちゃんはもういないのだ……)


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