32: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2017/03/04(土) 20:18:01.21 ID:TH3KD0540
女「吸血鬼さま……私は……不老不死というものに憧れていました……」
女吸血鬼「……そうじゃないかとはうっすらと思っていたよ」
女「それが吸血鬼を調べている第一の理由です……」
女吸血鬼「ということは、私が付き合わされたあの実験は……」
女「第二理由ですよ。だってもし吸血鬼になれても、あんなに弱点が多いだけだったら生きづらいじゃないですか」
女吸血鬼「まあ、そうだな……中々に不便な体だと日々難儀しているよ」
女「……それに不老不死だと最後には一人ぼっちになってしまう」
女「ねえ、吸血鬼さま――私を――」
女吸血鬼「馬鹿なことを言うんじゃないよ、君っ――! その言葉の先は一時の感情に任せて言っていい台詞ではない!」
女「何でですか?! 吸血鬼さま……あなたのことが好きなんです! あなたを一人にはさせたくない! 悲しい思いにも――」
女吸血鬼「……望んでなるものじゃないんだよ、不老不死なんて――! 吸血鬼になんて――!!」
女吸血鬼「分からないようだから、はっきりと言おう」
女吸血鬼「――私は君を眷属にする気はない!」
女「……」
女「……私もいつかあの星々の中に入ってしまいます……」
女吸血鬼「そうだろうな、君は人間なのだから……」
女「私がそうなっても吸血鬼さまは覚えていてくれますか……?」
女吸血鬼「………………」
女吸血鬼「私は――」
女吸血鬼「――昔、今までで一番愛し愛された人と似たような約束をしたことがある……」
女「はい……」
女吸血鬼「……私はな……その人がどんな名前で、どんな顔をしていたか……まったく思い出せないんだ」
女「…………」ウルッ
女「……ひっ……すん、うぇえ……ん」ポロポロ
女吸血鬼「……地上におりようか」
女「……ひっく……ひっく……は、ぃ……」コクン
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