俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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905:1[sage]
2022/10/03(月) 22:42:41.60 ID:C6AJlavI0

平塚「どうしたのかね、今更気遅れしたというわけでもあるまい」

ドアノブに手を掛けたまま、暫し躊躇する俺の姿を見て、平塚先生が促すように声をかける。

八幡「わかりました。後は俺自身でなんとかしてみます」

小さく溜息をひとつ。一瞬の後には覚悟を決めた俺の口からは、自然とそんな言葉が滑り出ていた。

平塚「ほう、少しはゴネるかと思ったが、今日はやけに素直だな」

いつになく神妙に頭を下げる俺に対し、先生は揶揄うように云いながら口角を緩める。

正直、俺に雪ノ下を説得できなくても、先生と一緒ならなんとかなるかも知れないという皮算用が働かなかった訳ではない。
恐らく先生も当然俺のそんな考えを見透かしていたに違いない。
だが、やはりこれは俺がひとりで解決すべき問題なのだろう。なぜならば、俺が自ら課した、自分自身への依頼なのだから。

平塚「まぁ、不安になる気持ちもわからんでもないが」

俺の気持ちを察したのか、それ以上は何も言わなくてもいいとばかりに鷹揚に頷いて見せる。

平塚「私は普段は妙にヒネていて、どこか達観しているようなキミが時折見せる、そういう年相応の脆さも含めて十分好ましく思っているぞ」

何気なく付け加えられたそのひと言で、なぜか狭い車内が妙な空気に満たされる。

八幡「 ……… は?」

平塚「あ、いや、別に深い意味ではなくてだな、その、もちろん教師としてだ」

急いで顔を背け、げふんげふんと空咳を吹かしながら必至に誤魔化そうとする。

いや別に誰もそんなことまで聞いてませんけど? 自分で言っといて意識し過ぎだろ。ここに来て変なフラグ立てないでくれません?

平塚「ああ、それから言い忘れていたが」

気を取りなおすように空咳をひとつ、先生が俺の肩に優しく手を置く。

平塚「例の"勝負"に関しては、今のところキミと雪ノ下は全くの互角だ ―――― せっかくの機会だ、さっさとキメてきたまえ、比企谷」

ドアを開け、背中越しに無言で力強く頷く俺に対し、先生も莞爾として笑って返す。


材木座「八幡!八幡! 我も、我も好きであるぞっ!」

その時、再び背後のトランクルームをがたがたと揺らしながら負けじとばかりに材木座の声が聞こえて来た。
お陰で先程までの妙な雰囲気もたちまちのうちに雲散霧消する。

八幡「だからお前の意見なんざ誰も聞いてねぇっつの。つか、俺の方は全然そうでもないんだけど?」

材木座「あれれー? なんか我の扱いだけ違くないー? あれれー?」


八幡「 ……… 先生、少し遠回りになりますけど、こいつ帰りにコンクリ詰めにでもして東京湾に沈めてもらっていいですかね?」

平塚「 ……… 気持ちはわからんでもないが比企谷、産廃の不法投棄は犯罪だぞ」





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