俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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[sage]
2020/04/05(日) 10:00:25.22 ID:f0RhZ2+m0
雪ははらはらと静かに舞い降り、運命の瞬間は刻一亥と迫りつつあるのが分かった。
振る雪は止まらない。決して時間が止まらないように。
やがて、彼女は浅く噛みしめていた美しい唇を解く。
雪乃「 ……… 今日、あなたに会えて本当に良かったわ」
努めて明るい口調だが、そこには惜別の悲しみが滲む。
雪乃「 ……… あなたに対する気持ちは本当よ。それは決して嘘ではないの」
こみあげてくる何かを無理やり飲み下し、震え声で絞り出すように一語一語をはっきりと告げる。
全てを聞くまでもなく、彼女が何を言わんとしているか察した俺の胸の奥で何かが押し潰され、外気の寒さとは違う理由で身体が震え始める。
雪乃「 ――― でも、」
やめてくれ。それ以上は何も聞きたくない。頼むからその先は言わないでくれ。
雪乃「それでも私は、やはり友達を ――― 由比ヶ浜さんの気持ちを裏切ることはできない」
深い悲しみと、それ以上に固い意思の宿るその瞳を見た瞬間、どれほど言葉を尽くしたところで彼女の決意を覆すことなどできはしないと悟っていた。
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