俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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733:1[sage]
2020/04/05(日) 09:50:02.12 ID:f0RhZ2+m0

あれほど怖がっていた仔犬を手にしたまま物思いに佇む雪ノ下の顔には隠しようのない翳りが浮かんでいた。

彼女が今、心に抱いているそれは、ここにこうして俺とふたりだけでいることに対する後ろめたさ、――― 罪の意識なのだろう。

普段は滅多に感情を面に露わにすることのない雪ノ下だが、今の俺にはその気持ちが手に取るようにわかる。

なぜならば俺もまた、ここに来るまで、そして、ここに来てからも彼女と同じ想いをずっと胸に抱え続けていたのだから。

同じような完璧超人でありながら雪ノ下にはあっても葉山にはない弱点、それは由比ヶ浜という存在である。

それは彼女がこれまで生きてきた十七年の人生の中で、唯一、心を許した友達だからこそのなのだろう。

そして、立場や形こそ違えど俺にとってもそれは同じだった。




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