俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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711:1[sage]
2020/03/16(月) 21:27:44.10 ID:IsKPfli80

昨年の夏休み明け、俺が入学式初日に巻き込まれたあの事故で、雪ノ下ただひとりがいち早く被害者と加害者という俺達の関係性に気が付いていながらも、ずっとそれを黙っていた事、そしてそれがあくまでも結果論に過ぎないとはいえ、彼女が俺たちに嘘をついていた、ということに対し、勝手に幻滅し、あまつさえ彼女を責めるかのような態度さえとってしまったことがある。

しかし、それとても本当のところは、俺の理想であり憧れでもある完璧超人であるはずの雪ノ下雪乃でさえも嘘をつくという、ごく当り前の現実を俺自身が認めたくなかったという、ただそれだけの理由に過ぎない。

そして、今度は俺の固執していた“本物”という言葉だけが、俺の知らないところで勝手に独り歩きを始め、いつしか意図せずして雪ノ下を圧迫し、無意識のうちに彼女を苦しめるようにさえなっていたに違いない。

つまるところ、雪ノ下に留学を決意させるまで追いつめたもの。それは、母親への畏怖でも、姉への劣等感でも、葉山との婚約でも、由比ヶ浜との友情でもなく、


―――――― 他でもない、彼女に寄せていた、俺自身の勝手な思い込みのせいだったのだ。




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