俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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617:1[sage]
2019/07/13(土) 20:56:41.74 ID:SkCQuLIZ0

留美母「あらあら、この子ったら照れちゃって」

留美「照れてないんてないから。ホント、そんなことないから。ほら、お母さん、もう行こ」

真っ赤になってぐいぐいと身体を押す娘に、るみるみ母は苦笑を浮かべながらもう一度俺に向けて会釈すると、るみるみに急かされるようにしてその場を後にした。

そんな微笑ましい母子の姿を見送る俺の口許にも自然と笑みが浮かんでしまう。


―――― と、不意にるみるみがひとり、こちらに小走りで駆け戻ってきた。


八幡「ん? どうかしたのか?」

俺の問いに、しばらくは何も答えずひとりなにやらもじもじとしていたるみるみだが、やがて、


留美「 ………… から」

八幡「ん?」

留美「 ……… わ、私、八幡と同じ高校行くつもりだから」

顔を真っ赤にしながら、やっと聞こえるような小声でそう告げる。


八幡「お、おお、そうか。 ……… なんか知らんがとりあえず頑張れよ」

言うまでもないことだが、るみるみが入学する頃には俺など影も形もないだろう。逆にまだ居たとしたらそれはそれでかなり問題がある。

それでもその時のるみるみの口振りというか健気な雰囲気というかが、なんとはなしに小さい頃の小町に似ていたせいなのか、ついつい無意識のうちに妹にやるような調子で、頭にぽんと手を置いてしまう。

やってからしまったと思ったがもう遅い。

キモイとかいって怒られない内にその手を引っ込めようとしたのだが、ふとるみるみの顔を見ると照れながらも少しだけ嬉しそうに口許が綻んでいる。

完全にタイミングを失った俺がるみるみの頭に手を置いたままにしていると、しばらく目を細めてじっとしていたるみるみが、やがて思い出したように俺からすいと一歩離れ、くるりと身を翻して、再び小走りで母親の許へと走り去ってしまった。

去り際に俺にだけわかるよう小さく手を振って見せたのは、それが別れの挨拶だったのだろう。





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