【ペルソナ5】9股かけたけどやっぱりたった一人を決めていく・後編【安価SS】
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◆86inwKqtElvs
[saga]
2017/07/05(水) 10:18:16.28 ID:gs3hnXCZ0
しばらく経って、少し落ち着いた。
これだけいっぱい泣いたのは、いつ以来だろう。
お父様が死んだときも、実感がわかなくて泣けなかったのに。
――お父様。
「春、大丈夫か?」
胸の痛みは治まっていない。そこに別の痛みを思い出したから、それが顔に出たのだろうか。
「大丈夫」
お父様。
私がお父様を裏切ってから、一番好きになった人が、この人です。
私はお父様の娘だから、根底に裏切りがあることを、私は否定したりしません。
だからこそ、私はもう裏切る相手を間違えません。
もしお父様が改心していたら、今の私を見て何と言いましたか?
――まだまだ甘いな、奥村の娘として。
そんなことを、言うんでしょうか。
「あと三日だね、君が実家に帰るまで」
彼が申し訳なさそうな顔をした。
さっき一人で勝手にどこかに行かないと誓っておきながら三日後にこれなんだから、責めているように聞こえたのかな。
「レッテルって簡単に消えないから。お互い、清算が必要だよね」
だからわかってる、と、うまくできたかはわからないけど微笑んで見せた。
「きっと簡単じゃないけど、君ならできるよ」
「うん」
頷きは、力強い。私の好きな彼の、好きなところ。
「色々ごちゃごちゃしたことが終わったら、ここに戻ってくるんでしょ?」
また、頷いた。
それなら“私たち”は、大丈夫。
「……ありがとう、リーダー」
彼に少しだけ、もたれかかる。彼は私を支える。
彼の胸に顔を埋めながら目を閉じて、彼と仲間とこれからのことを、考えた。
〜fin〜
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