435: ◆kJur2.rMxfRZ[saga]
2018/03/07(水) 05:34:40.87 ID:xvsbUhF30
北岡の宿泊しているホテル
ルーラ達によって自宅を知られた北岡秀一は現在この高級ホテルに泊まっていた。
高級な食材をふんだんに使ったフルコースを口にして、やっぱり吾郎ちゃんの料理の方が好きだよと吾郎に囁いた。
デザートを食べ終わろうとした所で吾郎は薬を用意した。
北岡「もう薬はいいよ、吾郎ちゃん。全然効いてないじゃん」
吾郎(そう言わずに飲んでください。ドクターの指示ですから)
吾郎(治る事はなくても病気の進行は遅くなっている筈です)
北岡「そうだといいね」
北岡はとても病気が遅くなっているとは思えなかった。
どんどん物忘れが激しくなりむしろ、日々、酷くなっている。
まぁ、これも契約者バトルが終わるまでの我慢だ。
俺は常に勝ってきた。小学校の運動会のリレーでも優勝し
高校の弁論大会でも優勝し、大学在学中の司法試験でもトップの成績を収めた。
北岡「弁護士になって最初の裁判も勝ったんだよな」
吾郎(はい、今の私があるのは全て先生のおかげです)
吾郎は強盗障害の罪で告訴されていた。
それを北岡は金に物を言わせたり、脅迫めいた取引を持ち掛けるなど
相当強引な手を使って黒を白に変える手腕を見せた。
晴れて無罪になった吾郎は以後の全ての人生を北岡に捧げる決心をした。
勾留中に何度も面接を重ねる内に吾郎は北岡の情熱に打たれ
生まれて初めて他人に心を開いた。一度開いた扉は二度と閉じる事は無い。
北岡の病気を知った吾郎は、沈黙を誓い願をかけた。
北岡の快癒を願い、その代わりに言葉を捨てると神に誓った。
完全に言葉を封印するために吾郎は金の糸で唇を縫い合わせた。
飲食は僅かに開く唇の間から摂取出来るものに限られた。
金の糸を選んだのは沈黙をより神聖なものとするためだった。
吾郎の沈黙は神に捧げたものだ、だから神聖でなければならない。
北岡「吾郎ちゃん、俺、他の全部を忘れても、吾郎ちゃんの事は忘れないからさ」
吾郎(先生なら契約者バトルでも勝ち残って病気を治す事が出来ます)
病気が治れば吾郎は金の糸を切り、北岡と共に祝いの酒を飲むだろう。
そう吾郎は決意していた。
北岡「そろそろ晩飯にしようか吾郎ちゃん、俺腹減ってきちゃったよ」
もう食べたとは言えなかった。
北岡は二度目の夕食を注文した。
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