947: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:42:36.03 ID:TPJ777ywO
潰れる音と砕ける音が混ぜ合わさった人間が本能的に忌避する不快な落下音が背後から響き、落下物の周囲にいる記者やカメラマンたちの背筋に蜘蛛が駆け抜けていくような寒気が走った。
落下音は周囲の人間の心象に赤い血が広がる様子を喚起させ、事実近くにいた人間の靴やズボンの裾には飛び散った血が付着しており、そこからカメラや視線を上げると大きな血だまりの中に落下の衝撃によって、砕けて折れて潰れて捻れた人体があった。
948: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:43:38.54 ID:TPJ777ywO
中野「乗れ! 永井」
助手席側のドアを開けた中野が運転席から叫ぶ。
949: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:44:41.06 ID:TPJ777ywO
永井「死んだよ」
950: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:45:33.90 ID:TPJ777ywO
アナスタシア「いのちを、かけてた」
951: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:46:29.74 ID:TPJ777ywO
夜が白みはじめた。
中継車はオフィス街を抜け住宅が立ち並ぶ一帯へと進み、河川敷のほうへ移動した。中野は中継車を橋の下に停車させた。橋は低く、中継車の車高から一メートルも離れていなかった。あたりには人影は見えなかったが、早朝のランニングを習慣にしている付近の住人がそろそろ現れてもおかしくなかった。
952: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:52:35.64 ID:TPJ777ywO
アナスタシア「ニェット……! ちがいます、アーニャは……」
953: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:53:41.65 ID:TPJ777ywO
中野「どこ行く?」
永井「おまえはまだマークされてない。ふつうに帰れるだろ」
954: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:54:37.24 ID:TPJ777ywO
永井「佐藤ひとりが暴れてるだけなのに、マスコミは亜人ってカテゴリーで叩きつづけ、どんどん住みづらくなる。だから離れるって言ってんだ……」
中野「逃げるのかよ!?」
955: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:56:03.42 ID:TPJ777ywO
中野「人の命を……」
永井「命!?」
956: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:57:37.11 ID:TPJ777ywO
アナスタシア「ケイ、もうやめてください! コウも殴ったりするのは……」
永井「フォージ安全の社長が死んだとき、たいして騒がなかったよな」
957: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:58:36.48 ID:TPJ777ywO
中野「そう、なのかもしれない……」
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