新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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94: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/02/14(火) 21:59:37.04 ID:16nzUkT/O
>>88 の文章が一部抜けてたので訂正


プロダクションからすこし離れたところに位置しているコインパーキングは、病気にかかったみたいな緑色をした街灯に照らされていた。光は、その駐車場に停めてある一台のワンボックスカーの運転席に座っている男の額にもあたっていた。オールバックにした黒髪が艶やかに緑の光線を反射している。男の眼つきは凶暴そのもので、解放されてからずっと眼に映る人間すべてにナイフを一突きしたくてたまらないようだったが、いまは眠気が瞼になっているみたいに眼を閉じかけていた。

男はなんとか瞼を押し上げ、腕時計を見て時刻を確認した。夜の十二時を過ぎていた。男は腕時計に視線を落としたまま腕を上げ、デジタルの標示盤を囲みを目の下に押し当て、眠気を追い出そうとした。できるだけ眠りたくはなかった。眠れば、記憶が夢のもとになって蘇ってくる。男の人生の三分の一ほどを占める十年という時間は、苦痛の記憶だった。男の脳はこれまで何度も潰されたり、切り取られたり、撃ち抜かれたり、破壊されてきたが、それでも苦痛の記憶はひとつも欠落することはなかった。心理学者ウィリアム・ニーダーラントの指摘するところでは、犠牲者は凄まじいエネルギーでわが身が嘗めたことを記憶から締めだそうとするが、たいていの場合それに成功しない。

男は半分ほど飲み干した缶コーヒーに口をつけた。砂糖とミルクもないブラックコーヒーだったが、しばらくすると眠気との戦いには役に立たないことがわかった。


佐藤「おまたせ、田中君」


車のドアが開いた音がした。声のしたほうを向くと、帽子の男が助手席に乗り込んでいた。田中の眼がぱっちりと開いた。




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