91: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/02/12(日) 23:04:50.29 ID:nOJuozZtO
佐藤は首をくいっとかるく動かし、トランクのほうを示した。そこには大型のクーラーボックスが二つあった。バックドアからみて右側の奥に横向きにして並べて置かれている。市販されているものでは最大容量のもので、押し込めることができるのなら人間くらいならはいりそうな箱だった。クーラーボックスの蓋はぴったり閉じられていた。蓋の周りには灰色のダクトテープが何重にも巻かれていて、箱の中身いっぱいに液体が詰まっていたとしてもそれが漏れ出る心配はなさそうだった。
佐藤「操作のコツはもう掴んだかい?」
田中「はい。任せてください」
そう言うと、田中はさっきの佐藤よりも大きく首をめぐらし、クーラーボックスに顔を向けた。
田中「でも、あれどうするんですか?」
佐藤「適当に処分してもいいけど、サービスにするのもいいかもね」
田中はよくわからないといった様子で、佐藤の顔を見やった。
佐藤「いろいろ入用になるだろうし、使える臓器は猫沢さんにあげちゃおう」
佐藤は柔和に微笑みながら言った。 そして、ワンボックスカーが駐車場から出発した。発進するときの揺れで、トランクのクーラーボックスがガタンと音をたてた。だが、佐藤も田中も、クーラーボックスの中にいるものは決して生き返らないことを知っていた。ワンボックスカーは街灯に一瞬だけ照らされた。光が車体のうえをなめらかにすべっていく。だがそれもわずかなあいでのことで、二人の亜人を乗せた車は闇になかに消え、すぐに見えなくなった。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20